数学における佐藤超函数(さとうちょうかんすう、hyperfunction)は、函数の一般化で、ある正則函数ともう一つの正則函数との境界上での「差」:


として表される(正則関数の定義関数といい、と記す)[1][2][3][4]。また、略式的には無限位数の極を持つシュワルツ超函数と見なすこともできる。佐藤超函数はグロタンディークらの先駆的な仕事の上に1959年に佐藤幹夫によって導入された[1][2]。誤解のおそれの無い場合、省略して単に超函数と呼ぶことがある[5]

定式化

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実数直線 R 上の佐藤超函数は、上半平面上のある正則函数下半平面上の別の正則函数との「差」であると考えられる。従って、佐藤超函数を上半平面上の正則函数 f と下半平面上の正則函数 g との対 (f, g) として定義することができる。

厳密ではないが、実数直線そのものの上では佐藤超函数はちょうど正則函数の差 fg になっているはずである。この差は同じ正則函数を f, g の双方に同時に加えても変化しない。そこでガウス平面 C の全域で正則な函数 h に対して、佐藤超函数 (f, g) と (f + h, g + h) とは同値な佐藤超函数であると定める。

一変数佐藤超函数の定義

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前節で述べたような目的は具体的には層係数コホモロジーを考えることで実現することができる。C 上の正則函数全体の成す とするとき、実数直線上の佐藤超函数の全体を一次の局所コホモロジー英語版

で定義する。これは実際、C+ および C をそれぞれ上半平面および下半平面とすると、

ゆえ

と書き直すことができるが、任意の層について零次コホモロジー群は単にその層の大域切断の全体であるから、この定義によって与えられる佐藤超函数が、ガウス平面全域で正則な函数を加える違いを除いて、上半平面および下半平面それぞれのうえの正則函数のひと組として得られていることが確認できる。

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  • f がガウス平面全域で正則な函数ならば、f の実軸上への制限はその表現が (f, 0) あるいは (0, −f) で与えられる佐藤超函数である。
  • ディラックのデルタ「函数」
    で与えられる[3][4]。これはコーシーの積分公式の言い換えである。
  • g が有界区間 I に含まれる台を持つ実数直線上の連続函数(あるいはもっと一般にシュワルツ超函数)ならば、g は佐藤超函数 (f, −f) に対応する。ここでいう f は区間 I の補集合上で定義される正則函数で
    で与えられるものである。この f は実軸上を点 x を通って横切るとき、g(x) だけ値が跳ぶ函数になっている。f に対するこの公式は gg 自身とディラックデルタとの畳み込みと見ることにより、一つ前の例から従う。
  • fz = 0 を真性特異点にもつ以外は至る所正則な函数(たとえば e1/z)とすると (f, −f) は {0} を台に持つ、シュワルツ超函数ではない佐藤超函数である。fz = 0 に有限位数の極を持つならば (f, −f) はシュワルツ超函数となるから、f が真性特異点を持つ場合の (f, −f) は z = 0 に「無限位数の極を持つシュワルツ超函数」であるかのようにも見える(シュワルツ超函数は常に各点で有限位数を持つことに注意)。

数値解析との関係

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佐藤超函数を使って高精度な数値積分ができる[6][7]他、ガウス求積を導出できることが示されている[8]。また、森正武は数値解析と佐藤超函数の関係について次のように述べている[8]

補間, 数値微分, 数値積分, フーリエ解析のような数値解析の基礎的な問題を超函数論の立場から眺めてみると, 統一的な取り扱いが可能になる上に, 誤差評価などにおいて実用上有効な方法を得ることができる.

出典

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  1. ^ a b Sato 1959
  2. ^ a b Sato 1960
  3. ^ a b Jacobs, Bryan. "Hyperfunction." From MathWorld--A Wolfram Web Resource, created by Eric W. Weisstein. https://mathworld.wolfram.com/Hyperfunction.html
  4. ^ a b Hyperfunction in nLab
  5. ^ 今井功, 応用超関数論I, II. サイエンス社.
  6. ^ 緒方秀教, 平山弘「数値積分に対する超函数法」『日本応用数理学会論文誌』第26巻第1号、日本応用数理学会、2016年、33-43頁、CRID 1390001205769013120doi:10.11540/jsiamt.26.1_33ISSN 2424-0982 
  7. ^ 緒方秀教、「佐藤超函数論に基づく数値解析」 『応用数理』 2017年 27巻 4号 p.8-15, doi:10.11540/bjsiam.27.4_8,日本応用数理学会
  8. ^ a b 森正武数値解析と超函数論 (超函数論と偏微分方程式の理論)」『数理解析研究所講究録』第145巻、京都大学数理解析研究所、1972年5月、1-11頁、CRID 1050282810628520576hdl:2433/106735ISSN 1880-2818 

参考文献

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英文

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和文

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関連項目

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外部リンク

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📚 Artikel Terkait di Wikipedia

ローラン・シュヴァルツ

ンシャル論、スペクトル理論、などの解析学において重要な概念となっている。また佐藤幹夫はシュヴァルツの超関数理論を更に一般化した超関数 (hyperfunction) 理論を創設した。 『超函数の理論』 岩村聯訳、岩波書店、1971年 ISBN 4000056611 『物理数学の方法』 吉田耕作、渡邊二郎訳、岩波書店、1966年

超関数

ツや佐藤の超関数を指す場合には、シュワルツの超関数は "distribution" と呼ばれ、佐藤の超関数は "hyperfunction"(超関数)と呼ばれる。hyperfunction という呼称は原論文で用いられる用語であり、佐藤の超関数に対する呼称はこれに倣っている。

解析学

し遂げ、フィールズ賞を受賞した。これによりある意味任意の関数が微分可能になったといえる。その後佐藤幹夫によってより一般的な佐藤超函数 (hyperfunction) が導入された。関数とその超関数の意味での導関数に適当なノルムを導入するとソボレフ空間になるが、これも偏微分方程式において重要な概念となっている。

小松彦三郎

3月退官、名誉教授。1996年4月東京理科大学理学部教授。2006年3月退任。 専攻は関数解析学であるが、佐藤幹夫が創始した佐藤超関数(hyperfunction)の関数解析的基礎付けの仕事がよく知られ、佐藤とともに「超関数の理論と応用の功績」により1969年朝日賞を受賞。2015年春の叙勲で瑞宝中綬章受章[要出典]。

今井功 (物理学者)

今井功『応用超関数論 (1, 2)』サイエンス社、1982年 Imai, Isao (2012) [1992] (英語), Applied Hyperfunction Theory, Mathematics and its Applications (Book 8), Springer, p. 438

数値積分

(2019). “A numerical method of computing oscillatory integral related to hyperfunction theory”. arXiv preprint arXiv:1909.04911. doi:10.48550/arXiv.1909.04911

宇澤達

spaces Finite Coxeter groups and their subgroups lattices Invariant Hyperfunction Sections of Line Bundles T. Uzawa (1985). “On Equivariant Completions

多変数複素関数

ものである。ある意味でこれはジーゲルとは矛盾しない。現代の理論はそれ自身の異なる方向性を持つものである。 その後の発展として、超関数 (hyperfunction) の理論や楔の刃の定理(英語版)が挙げられるが、それらはいずれも場の量子論からいくらかの着想を得たものである。その他、バナッハ環の理論